私たちは、静岡県掛川市で、明治28年より代々続く茶農家「ひらの園」です。
家族で小さく栽培から販売までを、一貫して行なっています。
今では使う農家も減った、「60キロライン」という規模の一連の機械で、小さく丁寧にお茶を揉んでいます。量よりも質を追求し、小さく、身の丈にあったお茶経営を理想として、時代と共に多くの心ある人に支えられ、120年間代々お茶を生業としています。
5人の園主にバトンをつないでいる茶農家で、きちんと6代目につなぐことに意識を向けています。
初代、五作・・・手摘みで摘んだお茶を、手揉みで製造。
二代目、松五郎・・・部分的に、機械での製造が始まる。
三代目、博義・・・茶園の基盤を築く。
四代目、孝雄・・・今の栽培・製造スタイルが確立。
五代目、昇吾・・・2008年、後継者として入り、また変化が始まった。
【五代目 昇吾の紹介】
今のお茶を取り巻く時代の変化に対応する為、新しい風を入れる為に、日本でも指折りの茶農家の元で半年間の住み込み研修を経験後、サラリーマンでの経験を活かして、栽培、製造だけでなく販売にも本格的に力を入れ始めました。
入口から出口まで。自分で畑から作ったものは出来るだけ自分でお客様に直接伝えたいと考えています。
春から秋までは掛川でしっかりとした「ものづくり」。農閑期の冬はしっかりとお客様と関わりたいと思い、2010年より東京の「青山ファーマーズマーケッ ト」に毎週末出店しています。ご縁の中心地でもあるこのファーマーズマーケットで、茶農家としての一番大切な「意識」を磨き、次のお茶時期に備えます。
私は、農家が自分で作ったものは自分で売る。作った人間が自ら売る、当たり前の事でもあり、大事な事。そうでないと伝わらな いと考えています。
時代や、園主によってもひらの園のお茶は少しずつ変化してきました。
変化を積み重ねる事でここまでお茶をやってきました。
ひらの園でも、変えない部分と変える部分があり、120年変わらずにいたら今はないでしょう。
変化し続ける事でこの先もお茶を作り続ける事ができると考えています。
これから先、お茶がどんな変化をしていくかわからないけれど、それもまた楽しみ。
この先も続くようであれば、その時代時代の園主の考え方がお茶に変化をもたらすのだと思います。
【そんなひらの園の作るお茶は?】
現在のひらの園のベースとなるお茶の特徴は「深蒸し茶」。
ですが、一言で深蒸し茶と言っても様々です。
標高70~180メートル付近に点在する、ひらの園の茶園の新芽に合わせて、少し葉の形状を残した”若干、若め”の深蒸し具合が特徴です。そのため、お茶の色は深蒸し茶の中でも「青色系」を理想としています。
仕上げも「お茶屋さん」ではなく、あくまで「お茶農家」なのでキレイにしすぎない、火入れも強く入れな いのが特徴で、例えるならば、良い素材は焼き魚ではなく、お刺身で頂くという発想を大切にしてお茶が元々持っている良さを残してお茶を仕上げています。
ま た一部の「自然仕立て茶園」では「普通煎茶(お茶の色が透明なタイプの煎茶)」も製造しています。
棚の設備を使用し、機械管理もやめて、摘採も1年に1日だけ。毎年40人以上のお茶摘みさん による手摘みで新芽を収穫し、通常よりも時間をかけて丁寧に製造し、全国茶品評会にも出品して栽培技術、製造技術を磨いています。
型にはまらず、「深蒸し煎茶」と「普通煎茶」両方やる。そして近年は「和紅茶」にも挑戦し、未来への変化の種まきもしています。
●毎年4月中下旬に、自然仕立ての特別な茶園では1年に1日だけですが「お茶摘みさん」も募集しています。是非タイミングが合えばお茶摘みにいらして下さい。
【五代目 昇吾が、秘かに願うことは・・】
お茶は、誰か大切な人とじっくり飲んでもいいし、大切な仲間とワイワイ飲んでもいい。
誰かとお茶を飲む時間こそ、本当に大切な時間だと思います。
そこに流れる時間は普段流れる時間と同じ長さの時間だけど、時間の深さや質が違ってくる。時を楽しむ。それがお茶をするという事のような気がします。
そんな不思議な縁を運んで来てくれる飲み物である「お茶」を届けるのが、ひらの園の役割です。
そして、その先のお茶の活用は、飲んで頂けるお客様に委ねます。
ぜひ、一度ひらの園のお茶を、召し上がってみてください。