「荒茶」を「製茶」にする作業

この日は、お茶うけ屋の一年に一度の『荒茶の仕上げ』作業日です。^^毎年、向笠園で『荒茶』を10キロほど購入し、お礼につかったり、欲しいと云って下さる方に販売しています。

*荒茶とは、農家が作ったお茶のことです。30キロを一包みにして問屋に出荷されていき、ほぼ商品のような茶葉の形にはなっているけれど、水分も多くてまだ店頭に並ぶことはない『茶商品の原料』というお茶です。

せっかくなので、流れを簡単にご紹介します。

荒茶を製茶にする作業を、「お茶の仕上げ」といい、大きく3つに分類されています。

荒茶写真・・・ダイヤモンドの原石と同じようなもの。サイズの違う茶葉が色々混ざっている。

①ふるい分け作業・・・荒茶をサイズ別に分類する
②火入れ作業・・・荒茶に熱を加えて、乾燥させ変質を防ぎ、お茶の良い香りを引き出す
③ブレンド作業・・・他地域・他品種・他年度をブレンドし、商品として安定した味や品質、量を作る

 

① 荒茶の中には、粉っぽい部分や逆に大きな葉や茎、それ以外にも異物など混ざっているので、きれいにふるいにかけたり、茶葉のサイズをそろえるために切断したりという、器量の良い茶葉に仕上げる作業をします。

お茶がピカピカ光っています。光りに反射する茶葉は、脂が乗ったおいしい茶葉です。^^

荒茶はサイズ別に分類され、上の写真のような、通常の「煎茶」として商品になる茶葉(専門用語:本(ほん)茶)と、はじき出された下の写真のような茶葉(専門用語:出物(でもの))に分かれます。

写真はふるいから取り出した、細かい茶葉。急須を使わなくても色と味が出る、寿司屋の粉茶やティーバックになる部分。

写真は、ふるいの一番粗い網の上に残った、「頭(あたま)」と呼ぶところです。これでほうじ茶を作ると、本当においしいです。^v^

「頭」の中には、大きな葉や、茎や、芽が集まって固まったおはじきのようなものもあります。けっこう美味しいのですが、乾燥させるのに時間がかかります。

② ふるいにかけた荒茶にもう一度熱を加え、茶の芯から水分を抜き、お茶の香りを引き出す作業を、「火入れ」といいます。

写真は、火入れの道具「棚式乾燥機」。引き出しのような中に、お茶を敷いて熱風を循環させて乾燥させます。

この火入れ技術は、ものす~ごくお茶の雰囲気を変える事ができる、すごい技なのです。

原料の良さを上手に引き出せるかどうか、好む香りを引き出せるかどうか。主には問屋が持つ技術で、見た目はそれほど大きく変化しませんが、これも奥が深い世界です。

お茶屋さんによって、原料の荒茶の違いはもちろん、この火入れ機械を変えることで風味を変えたり、温度や時間によって香りを変えたり。言葉では説明し切れない微妙な感覚で味に違いを生み出します。

火入れは難しいけれど、おもしろいですよ♪(と、パートナー談^^)

荒茶と製茶の味の違いのイメージとしては、荒茶が青くさい野菜や葉っぱのような味で、製茶(仕上げ茶)は、甘くて余韻が長くなる。青みがあっても青臭くなくなります。(これはし好品なので、荒茶がお好きな方もいらっしゃいます。)

③ さらに問屋の仕上げには「ブレンド」という技術もあり、色々な荒茶を組み合わせて味を作るのも、技の一つです。

<お茶うけ屋スタイル ~ノンブレンド茶の個性を楽しむ~>

お茶うけ屋では、農園ごとに仕上げたノンブレンド茶が、お茶のおいしさと楽しさのバリエーションを広げられると考えているため、単一農園茶をおすすめしています。

≪一口コラム≫

農家が作った生一本のお茶であっても、静岡県の場合は荒茶がそのまま商品となることはあまりありません。

関西方面に行くと、直売所などで荒茶のまま販売されていることもしばしばありますが、栽培や製造の違いからか、静岡県の荒茶とは大きく味が異なり、青臭みはなくおいしく飲めるものも多くあります。これは土地柄の違いのようで、出合うとまた楽しいですよ。

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